シルクの種類

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●   シルクには2種類あります:①大シルクと、②小シルクです。

 

1-大シルクとは:アッラーに対し、かれのルブービーヤ[1]とウルーヒーヤ[2]そしてかれの美名と属性において同位者や関与者をおくことです。

この大シルクは、それを犯す者をイスラームの範疇の外に追いやり、またその全ての行い(善行や崇拝行為など)を無駄にしてしまいます。大シルクを犯す者の生命と財産はもはや神聖で保障されたものではなくなり、もしその行為から悔悟する前に死んでしまうようなことがあれば、来世では地獄の業火に永遠に留まることになります。

大シルクとはイバーダ(崇拝行為)そのもの、あるいはその一部をアッラー以外のものに捧げることを意味します。例としては死人やジン(霊的存在)、シャイターン(悪魔)など、アッラー以外の何ものかにドゥアー(祈願)したり、誓いを立てたりすることや、アッラー以外にはその権能を有しないものに富の獲得や病からの治癒、あるいは必要事や雨天の到来などを頼んだりすることが挙げられます。無知な者たちは、聖者や正しく偉大であった人物の墓や、または木や石などからできた偶像に対してこれらのことを行います。

 

●   大シルクの種類:

 

①    恐れにおけるシルク:これは何らかの物体、偶像、ターグート[3]、死者、その場に存在しないジンや人間など、アッラー以外の何ものかが災いを及ぼすことを恐れることです。

この種の恐れは、イスラームの教えにおいて最も偉大かつ崇高な地位を占めているものの1つであり、それゆえにアッラー以外のものにおいてこの種の恐れを抱く者は、アッラーに対して大シルクを犯しています。これはシャイターン(悪魔)が人間を破滅へ向かわせる武器です:-ゆえに彼らを恐れてはいけない。あなた方が信仰者であるのなら、われ(アッラーのこと)を畏れるのだ。,(クルアーン3:175)

 

②    タワックル(自らの身を完全に委ねること)におけるシルク:全ての事柄と状況においてアッラーにタワックルすることは、アッラーのみに対して純粋な形で行わなければならない、最も偉大なイバーダ(崇拝行為)の1つです。

それゆえ、アッラーのみが権能を有されるもの-つまり害悪の駆除や利益、糧の獲得など-において、アッラーを差し置いて死者や不在者などにタワックルする者は大シルクを犯していることになります。至高なるアッラーはこう仰せられています:-そしてあなた方が信仰者であるのなら、アッラーにこそタワックルするのだ。,(クルアーン5:23)

 

③    愛におけるシルク:アッラーへの愛には、かれに対する完全な服従と慎ましさが不可欠です。この種の愛は純粋な形でアッラーにこそ向けられるものであり、何ものもそれをアッラーと以外の何ものかに向けることは許されません。

それゆえアッラーを愛するようにアッラー以外の何かを愛する者は、その愛とアッラーの比類のなさを讃美することにおいて、それらをアッラーの同位者としていることになります。そしてそれは大シルクの形態の1つなのです。至高なるアッラーは仰せられています:-そして人々の中には、アッラー以外のものをアッラーを愛するように愛して、その同位者とする者たちがいる。しかし信仰する者たちのアッラーに対する愛情は、(彼らアッラー以外のものをアッラーを愛するように愛する者たちの愛情)より強烈なのだ。,(クルアーン2:165)

 

④    服従におけるシルク:大シルクの形態の1つに、服従におけるものがあります。例えば王族や支配層、学者や統治者などがアッラーが非合法とされたことを合法化したり、あるいは合法とされたことを非合法化したりしたとき、そのような彼らの裁断において服従することは、法の制定とその他の事柄を合法・非合法化する権威において、彼らをアッラーに参与させることになります。このような行為に対し、至高なるアッラーは次のように仰せられており、大シルクの1つに数えられます:-(ユダヤ教徒、キリスト教徒ら啓典の民は)アッラーを差し置いて、彼らの学者や僧侶たち、そしてマリアの子メシア[4]を彼らの主と拝した。彼らは、唯一なる神を崇拝する以外のことは命じられてはいなかったのだ。かれ以外の神は存在しないのである。アッラーは(彼らが)かれに並べて(崇めて)いるものから、無縁かつ高遠なお方である。,(クルアーン9:31)

 

2-小シルク:これはアッラーがシルクと名づけられたものの、大シルクの域にまでは及ばない類のものの事を指します。小シルクを犯すことでタウヒード[5]信仰は損なわれますが、それを犯す者をイスラームの範疇外にまで追いやることはありません。小シルクは大シルクの架け橋であり、それを犯す者達は、アッラーの唯一性を明言する者達に反抗する者達であると規定されます。それを犯す者は(来世において)罰せられても、不信仰者のように永遠に地獄の業火に留まることはありません。また彼の生命も財産も、依然として神聖かつ侵すべからざる保証されたものです。

また大シルクは、それを犯す者の善行やイバーダ(崇拝行為)など全ての行いを無に帰させますが、小シルクの場合はそれを犯しつつ行った行為のみが無駄になります。例としては、人々の賞賛を求めてイバーダ(崇拝行為)をすることが挙げられます。人の目や耳、賞賛などを念頭に入れてサラー(礼拝)や施し(サダカ)、サウム(斎戒、いわゆる断食)などを行うことは、いわゆる見栄を張ることです。そして見栄のために行った行為は無効となるのです。クルアーンの中で言及されているシルクという言葉は、全て大シルクを指していますが、一方小シルクはスンナ[6]の中で数多くの伝承者によって語り継がれています。その内のいくつかを挙げてみましょう:

 

①     至高なるアッラーは仰せられました:-(ムハンマドよ、こう言うのだ)「私は、あなた方の神は、唯一なる神であるという啓示を授かっただけの、あなた方同様の1人の男に過ぎない。ゆえに自らの主との面会を望む者は善き行いをし、その主に対するイバーダ(崇拝行為)においてシルクを犯してはいけない。」,(クルアーン18:110)

 

②     アブー・フライラ(彼にアッラーの御満悦あれ)は伝えています:「アッラーの使徒はこう言いました:“祝福にあふれた至高なるアッラーがこう仰せられた:われは最もシルクを必要としないものである。われ以外のものにシルクを犯しつつ何らかの行為を行う者は、われがその行いと彼のシルクを放棄しよう。”」(ムスリムの伝承[7]

 

●   またアッラー以外のものに誓いを立てることや、「アッラーと何がしが御望みになられたこと」「もしアッラーと何がしがおられなかったら…」「これはアッラーと何がしからのものだ」「私にはアッラーと何がししかいない」などという言葉も、小シルクの一種と見なされます。このような間違いを犯さないためには、「アッラーが御望みになり、それから[8]何がしが望んだこと」という風に言うべきなのです。

 

1-イブン・ウマル(彼らにアッラーの御満悦あれ)は言いました:「私はアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)がこう言われるのを聞きました:“アッラー以外のものにおいて誓いを立てた者は不信仰に陥ったか、あるいはシルクを犯したことになる。”」(アブー・ダーウードとアッ=ティルミズィーの伝承[9]

 

2-フザイファ(彼にアッラーの御満悦あれ)は預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)がこう語ったと伝えています:「“アッラーが御望みになり、そして某が望まれたこと”などと言ってはならない。“アッラーが御望みになり、それから某が望まれたこと”と言うのだ。」(アフマドとアブー・ダーウードの伝承[10]

 

● 小シルクはそれを犯す者の心の持ちようによっては、大シルクともなりえます。それゆえムスリムは、大小関わらず全てのシルクに注意するべきでしょう。というのもシルクはこれとないほど大きな不正なのであり、万有の主に対し欠陥があると意味するものなのです。至高なるアッラーは仰せられました:-さてルクマーンが、自分の息子を戒めてこう言った時を思い起しなさい。「息子よ、アッラーに(外の神を)同等に配してはならない。それを配するのは、大変な不義である。」,(クルアーン31:13)

 

●   シルクと関連した言動とその媒介行為

 

ある種の言動は人の心の持ちようとその出所によって、大シルクと小シルクの境界線上に位置しています。このような類のものはタウヒード信仰を否定し、その純粋性を損ないます。イスラームはこのような言動に対し、警告を与えます。その具体的例を挙げていきましょう:

 

1-災難の除去やその予防を意図して指輪やネックレス、ブレスレットや糸などを身につけること。これはシルクの1つです。なぜなら、至高なるアッラー以外に願いを託し、それに愛着心を抱いているからです。

 

2-アイン(邪視)などの予防としてビーズや骨、文字の書かれた紙など、あらゆる形状をとったお守りを身につけること。これもシルクの1つです。なぜなら、至高なるアッラー以外に願いを託し、それに愛着心を抱いているからです。

 

3-何かを吉凶と関連付けること:ある種の鳥、動物、人、場所、日時、色などを不吉なものと考えることで、これもシルクの1つです。というのもこのような考えは益することもなければ害することもない被造物そのものから何らかの害悪が生じると考えることだからです。このようなものは、シャイターン(悪魔)とそのささやきに因を帰すものであり、アッラーに対するタワックル(自らの身を完全に委ねること)を損ないます。

 

4-木や石、何らかの遺跡や遺品、墓などからいわゆる利益を授かろうとしたり、あるいはそれらにそのような効果があると考えること:このような物からいわゆる利益が得られると信じたり、あるいは実際にそう願ったりすることはシルクの1つです。というのも、全ての御利益はアッラーのみがその権能を有されているからです。

 

5-魔法:魔法とはその原因が謎めき秘密めいたものです。

それは呪文やまじない、祈祷の言葉などによって人の心身に働きかけるものです。それによって人は時に病にかかり、死に至り、あるいは夫婦の縁が裂かれたりします。魔法はシャイターン(悪魔)的な行為です。また魔法はシャイターン(悪魔)に依拠することや、不可知の領域に関する知識を標榜するところから見ても、シルクの1つです。

いくつかのある魔法の種類のひとつとして、劇場やテレビのチャンネルでショーをするサーカスがあります。それを行うこと、見物すること、またお金を支払うこと、それによって稼ぐことは禁じられています。

至高なるアッラーはこう仰せられました:-そしてスライマーン(ソロモン)が不信仰に陥ったのではない。シャイターン(悪魔)こそが不信仰をはたらき、人々に魔法を教授したのである。,(クルアーン2:102)

6-占い:占いとはシャイターンを仲介として、未来に起こることを予言するなどといった、未知の領域に関する知識をでっち上げることを言います。これもまたシルクの1つです。というのもそこにはアッラーを差し置いて何か別のものを慕って接近することや、未知の領域に関する知識をアッラーと共有しているという詐称が存在しているからです。

アブー・フライラ(彼にアッラーの御満悦あれ)によると預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はこう言われました:「占い師や巫女のもとを訪れてその言葉を信じた者は、ムハンマドに下されたもの(イスラームの啓示)に関して不信仰に陥ったのである。」(アフマドとアル=ハーキムの伝承[11]

 

7-占星術:占星術とは星の出現の状態から善事と悪事が起こる事や、病気の発生や死の到来、価格の変動などを予め語り、地上における様々な出来事を証明しようとする手段です。これらはすべて大シルクです。なぜなら、未知の領域に関する知識とアッラー以外のものの参与や共有を認めることにつながることからです。

 

8-星に降雨の時期を関連付けること:これは降雨の時期を、ある星の出現や消滅と関連付けることです。そして「これこれの星が雨を降らせた」などと言って、降雨をアッラーではなく星々の恩恵であると考えることです。これもまた、雨の恩恵は星に限らずアッラー以外の何ものによるものでもないことから、シルクの1つなのです。

 

9-諸々の恩恵をアッラー以外のもののお陰と考えること:現世と来世における全ての恩恵はアッラーからのものであるため、それをかれ以外の何かに結びつけることは不信仰であり、アッラーに対してシルクを犯していることになります。例を挙げるなら、財の獲得や病からの回復などといった恩恵をアッラー以外の何ものかのお陰としたり、陸や海や空を安全に移動できる恩恵を、運転手や航海士やパイロットのお陰としたりすることがあります。また安寧の獲得や災害からの保護を、ある政府や個人や偉人またはよい計画のお陰などとすることなどもここに含まれます。

全ての恩恵はアッラーのみに帰せられ、それゆえ私たちはかれに感謝しなければなりません。一方ある被造物のお陰で生じているように見える事柄は、その恩恵の単なる手段に過ぎないのです。それは結実するかもしれませんし、しないかもしれません。また益するかもしれませんし、あるいはしないかもしれません。

至高なるアッラーはこう仰せられました:-そしてあなた方を訪れる全ての恩恵は、アッラーからのものである。そしてあなた方に災難が降りかかると、あなた方はかれにのみ哀願する。,(クルアーン16:53)

 

●   ニファーク(偽信性、あるいは偽善性)の種類

 

①   大ニファーク(偽信性):つまり信条におけるニファークのことであり、外面的にはイスラームを装っている一方で、内面においては不信仰を抱いているような状態を指します。このような類のものは不信仰者であり、改悛せずに死を遂げた場合来世においては地獄の業火の中でも最下層に放り込まれることになります。至高のアッラーはこう仰せられました:-実に偽信仰者たちは地獄の業火の最下層に(放り込まれる定めである)。そしてあなた方は、彼らにいかなる援助者もないことを知るであろう。,(クルアーン4:145)

 

②   小ニファーク(偽善性):いわゆる行為におけるニファークのことであり、それを犯す者はアッラーとその使徒に不服従を示していることになりますが、まだイスラームの範疇内に留まっている状態のことを指します。また、大ニファークへと陥らないためにもアッラーへの改悛が義務となります。アブドッラー・ブン・アムル(彼らにアッラーの御満悦あれ)によると、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はこう言いました:「それが全て当てはまれば完全な偽善者となる4つの性質がある。そしてそれらの内1つの性質でも当てはまれば、(その者は)それを放棄するまで偽善者の要素が1つ内在しているということになるのだ:(その4つとはつまり)信用されれば裏切ること、話せば虚言を吐くこと、約束すればそれを破ること、そして議論すれば荒々しく傲岸に振舞うことである。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[12]

 




[1] 訳者注:いわゆる主性。つまりこの世の創造や管理、所有や支配などに関する権威。

[2] 訳者注:いわゆる神性。つまり真に崇拝されるべき権威。

[3] 訳者注:「2.タウヒードの種類」の章を参照のこと。

[4] 訳者注:「マリアの子メシア」とはイーサー(イエス・キリスト)のことを指す。

[5] 訳者注:「1.タウヒード」の章参照のこと。

[6] 訳者注:ここで言う「スンナ」とは預言者の言行や彼が認可したこと、彼の性格や容貌などを伝える伝承の事で、いわゆる「ハディース」と同義語。

[7] サヒーフ・ムスリム(2985)。

[8] 訳者注:つまりアッラーとそれ以外のものを、運命を司ることや全知全能性などアッラー特有の権能において、単なる言葉遣いの上でも並列・同位させないようにすること。

[9] 真正な伝承。スナン・アブー・ダーウード(3251)、サヒーフ・スナン・アブー・ダーウード(2787)、スナン・アッ=ティルミズィー(1535)、サヒーフ・スナン・アッ=ティルミズィー(1241)。引用はアッ=ティルミズィーから。

[10] 真正な伝承。ムスナド・アフマド(2354)、アッ=スィルスィラト・アッ=サヒーハ(137)参照。スナン・アブー・ダーウード(4980)、サヒーフ・スナン・アブー・ダーウード(4166)、引用はアブー・ダーウードから。

[11] 真正な伝承。アフマド(9536)、アル=ハーキム(15)。引用はアフマドから。アル=アルバーニーのイルワーウ・アル=ガリール(2006)も参照のこと。

[12] サヒーフ・アル=ブハーリー(34)、サヒーフ・ムスリム(58)。引用はアル=ブハーリーから。

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