タウヒードの種類

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●   預言者たちは人々をタウヒードへといざない、諸啓典はタウヒードと共に下されました。このタウヒードには2つの種類があります:

 

①   知識と承認におけるタウヒード:これはタウヒード・アッ=ルブービーヤ、そして美名と属性のタウヒードと呼ばれるもので、つまり至高なる主の本質における真実と、かれの美名と属性と行為におけるアッラーの唯一性を承認することです。

 

その意味とは:しもべが以下のことを確信し、認めることです:アッラーこそがこの世の唯一の創造主、所有者、支配者、管理者であり、その本質と美名と属性と行為において完全なるお方であること。またあらゆることを知り尽くされ、全てを包囲され、王権はかれの御手のもとにあり、かつ全能のお方であること。また美名と気高い属性を有されるお方であること。そしてかれの本質、美名、属性、行為において類似するものはないということです:-かれ(アッラー)に似たものは何1つない。にも関わらず、かれは全てを聞き、御覧になられるお方なのである。,(クルアーン42:11)

 

②意図し求めることにおけるタウヒード:タウヒード・アル=ウルーヒーヤ、またはイバーダ(崇拝行為)におけるタウヒードと呼ばれるものです。これはドゥアー(祈願)やサラー(礼拝)、畏怖や願望などあらゆるイバーダ(崇拝行為)においてアッラーのみを対象とすることです。

 

その意味とは:しもべが以下のことを確信し、認めることです:アッラーこそがあらゆる被造物にとって神性を有する唯一のお方であり、崇高なるかれこそが唯一崇拝される権利を有するということ。ゆえにドゥアー(祈願)やサラー(礼拝)、アッラーのみが権能を有される事柄において救いを求めること、また同様にタワックル(身を完全に委ねること)や畏怖や願望の念、また犠牲や誓いなどあらゆるイバーダ(崇拝行為)はただアッラーに対してのみ向けられなければならず、何か別のものに逸らせてはならないということ。そしてイバーダ(崇拝行為)をアッラー以外の何ものかに対して向ける者は、ムシュリク[1]であり不信仰者であるということ。これは崇高なるアッラーが、以下のように仰られた通りです:-そして(その正当性に)何の論拠もない他の神をアッラーに並べて祈願する者の報いは、かれの主(アッラーのこと)の御許にある。本当に不信仰者たちには勝利はない。,(クルアーン23:117)

 

●   タウヒードを承認する規定:

 

1)人間はその天性によって、またこの世を注意深く観察することによって、タウヒード・アッ=ルブービーヤを認めることができます。しかしタウヒード・アッ=ルブービーヤを認めるだけでは、アッラーへの信仰とその懲罰からの救いにまでは至りません。というのもそれは、イブリース(悪魔)やムシュリク(偽信者)たちすらも認めていたことなのです。彼らによるこの承認が彼らにとって何の役にも立たなかったのは、アッラーのみを崇拝するというタウヒードを拒否したことによるのです。

 

それゆえタウヒード・アッ=ルブービーヤを認めただけでは、タウヒードを実践する者にもイスラーム教徒にもなったとは言えません。つまりアッラー以外に崇拝すべきものはなく、かれに並ぶ何ものもないと信仰告白し、アッラーのみがイバーダ(崇拝行為)を捧げるに真に相応しい存在であると認め、かつかれにいかなるものも並べることなくかれのみへのイバーダ(崇拝行為)を遵守するというタウヒード・アル=ウルーヒーヤを認めるまでは、彼の生命も財産も侵すべからざる神聖なものとはならないのです。至高なるアッラーは次のように仰せられました:-かれらの命じられたことは、只アッラーに仕え、かれに信心の誠を尽し、純正に服従、帰依して、礼拝の務めを守り、定めの喜捨をしなさいと、言うだけのことであった。これこそ真正の教えである。,(クルアーン98:5)

 

2)多くの被造物(人間)はタウヒード・アル=ウルーヒーヤとイバーダ(崇拝行為)を信じず、否定しました。アッラーが預言者たちを人々へと遣わし、彼らに啓示を下したのは、ひとえにアッラーのみを崇拝し、かれ以外のいかなるものに対する崇拝行為も放棄することを命じるためであったのです。

 

1-至高なるアッラーはこう仰られました:-あなた以前にわれら(アッラーのこと)が遣わした使徒の内で、「われ(アッラーのこと)の他に神はない。だからわれを崇拝するのだ。」という啓示を与えなかった者はいなかったのである。,(クルアーン21:25)

 

2-至高なるアッラーはこう仰られました:-本当にわれら(アッラーのこと)は、各々の民に使徒を遣わして、「アッラーを崇拝し、ターグート[2]を避けなさい。」と命じた。,(クルアーン16:36)

 

● タウヒード・アッ=ルブービーヤとタウヒード・アル=ウルーヒーヤは不可分である

 

①     ウヒード・アッ=ルブービーヤはタウヒード・アル=ウルーヒーヤを必須条件とします。ゆえにアッラーのみが創造主であり、支配者であり、糧を授けられるお方であると認める者は、アッラーのみがイバーダ(崇拝行為)の対象となる権利を有されることを認めなければなりません。それゆえアッラー以外の何ものかにドゥアー(祈願)したり、かれ以外のものに救いを求めたり、かれ以外のものに身を委ねたりしてはならないし、またいかなる種類のイバーダ(崇拝行為)もアッラー以外のものに対し行ってはならないのです。またその逆もまた然りで、タウヒード・アル=ウルーヒーヤはタウヒード・アッ=ルブービーヤを必須条件とします。つまりアッラーのみを崇拝し、かれに何ものをも並べない者は、アッラーが彼の主であり、創造主であり、支配者であることを既に確信していることになるのです。

 

②     アッ=ルブービーヤとアル=ウルーヒーヤはしばしば一緒に言及されますが、その意味は異ります。つまり前者の語根である「アッ=ラッブ(主)」は養育者、所有者、支配者という意味ですが、後者の語根「アル=イラー(崇拝される存在)」は、真に崇拝される権利を有する唯一のもの、という意味です。崇高なるアッラーはこう仰られています:-言うのだ。「御加護を請い願う。人々のラッブ(主)、人々の王、人々のイラー(真に崇拝すべきもの)に。」,(クルアーン114:1-3)

またこの2つは時として各々別個に言及されもしますが、意味が類似している場合もあります。崇高なるアッラーは次のように仰られています:-言ってやるがいい。「アッラーは全てのもののラッブ(主)であられるというのに、私がアッラー(アル=イラー:真に崇拝すべきもの)以外のラッブ(主)を求めることなどあろうか。」,(クルアーン6:164)

 

●   タウヒードの本質とその核心

 

あらゆる物事は至高なるアッラーからのものであると捉え、それらの物事の原因や手段などアッラー以外のものに気を煩わせないこと。つまり善悪も害益も全て至高なるアッラーからのものであると捉え、崇高なるアッラーのみをイバーダ(崇拝行為)における対象とし、かれと共に何ものをも崇拝しないということです。

 

●   真のタウヒードによる成果

 

アッラーのみに身を委ねること。被造物に対する不平不満と、彼らを咎めだてすることの放棄。至高なるアッラーへの満足とかれへの愛。そしてかれの采配の全面的受諾。かれへの良きイバーダ(崇拝行為)、かれへの追従を義務付けること。かれに対して良い方に考えること。かれを念唱することによって安心すること。

 

● タウヒードの徳

 

至高なるアッラーは仰られました:-信仰して善行に勤しむ者たちには、彼らのために、川が下を流れる楽園についての吉報を伝えよ。彼らはそこで果実の糧を与えられるたびに「これは私たちが以前与えられていたものだ。」と言う。彼らには(見た目は現世での果実に)似たものが授けられる(が、その味は全く異なっている)。またそこには彼らのために、純潔の配偶者がいる。彼らはそこに永遠に住むのである。,(クルアーン2:25)

 

2-至高なるアッラーは仰られました:-信仰に入り、自分の信仰にシルクを混じえない者。彼らこそは安泰であり、正しく導かれた者たちである。,(クルアーン6:82)

 

3-至高なるアッラーは仰られました:-これらの信仰した者たちは、アッラーを唱念し、心の安らぎを得る。アッラーを唱念することにより、心の安らぎが得られないはずがないのである。,(クルアーン13:28)

 

4-ウバーダ・ブン・アッ=サーミト(彼にアッラーの御満悦あれ)によると、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は仰られました:「比類なきアッラー以外に崇拝すべきものはなく、ムハンマドはアッラーのしもべかつ使徒であり、イーサー(イエス)はアッラーのしもべかつ使徒であり、また彼はアッラーの命によりマルヤム(マリア)へと吹き込まれた御言葉かつ魂であり、また天国は真実であり、地獄は真実である、と証言した者は、アッラーが彼をその行為に応じて天国へと入れて下さるだろう。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[3]

 

5-ジャービル(彼にアッラーの御満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)のもとに男がやって来て、言いました:「アッラーの使徒よ、2つの確実なこと[4]は何か?」すると預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は仰られました:『アッラーと共にいかなるものも並べずに死んだ者は天国へ入り、アッラーに何ものかを並べて死んだ者は地獄に入るということだ。』(ムスリムの伝承[5]

 

● タウヒードの言葉の偉大さ

 

アブドッラー・ブン・アムル・ブン・アル=アース(彼らにアッラーの御満悦あれ)によると、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は仰られました:「アッラーの預言者であるヌーフ(ノア:彼に平安あれ)は、彼の死期が近づいた時に息子に言った:『私はお前に遺言を伝える:私はお前に2つのことを命じ、2つのことを禁じよう。私はお前に、“アッラー以外に崇拝すべきものはなし”の言葉を命じる。本当に7層の天と7層の大地が秤の一方に置かれ、もう一方に“アッラー以外に崇拝すべきものはなし”の言葉が置かれたとしても、“アッラー以外に崇拝すべきものはなし”の言葉の方が重いのである…(またもう1つ命じるのは)“崇高なるアッラー、かれを讃えます”の言葉である。実にそれは万有の祈願であり、それによって被造物は糧を得るのだ。そして私はお前にシルクと、奢り高ぶることを禁じる…](アハマドとアル=ブハーリーの伝承[6]

● タウヒードの完遂

タウヒードは、比類なきアッラーのみを崇拝し、かつターグート(下記参照)を避けることによってのみ完遂されます。崇高なるアッラーはこう仰られました:-本当にわれら(アッラーのこと)は、人々にアッラーを崇拝しターグートを避けさせるべく、各々の民に1人の使徒を遣わした。,(クルアーン16:36)

 

●   ターグートの性質

 

ターグートとは、偶像などのような崇拝の対象であれ、占い師や似非学者などのように人々が依拠・追従する人たちであれ、あるいはアッラーへの服従から逸脱した王族、官僚や首領などの支配層たちであれ、アッラーのしもべがそれらにおいてタウヒード信仰の規範を超えてしまっている全ての対象を指します。

 

●   ターグートは無数であり、その代表的なものは5種類です

①     イブリース(悪魔の長)――アッラーが私たちを彼から守って下さるよう――

②     崇拝され、そうされることに満足する者

③     人々を自らの崇拝へといざなう者

④     不可知の領域に関する知識を有すると主張する者

⑤     アッラーが啓示されたもの(つまりイスラーム法規定)以外のもので裁く者

 

至高なるアッラーは仰せられました。-アッラーは信仰する者の守護者で、暗黒の深みから、かれらを光明の中に導かれる。信仰しない者は、邪神〔ターグート〕がその守護者で、かれらを光明から暗黒の深みに導く。かれらは業火の住人である。永遠にその中に住むであろう,(クルアーン2:257)

 



[1] 訳者注:「ムシュリク」とはシルクを犯す者のことであり、「シルク」とはアッラーのみが専有される特質において、かれ以外の何ものかをかれに同位させることをいう。詳しくは「4.シルク」の章参照のこと。

[2] 訳者注:「ターグート」はアッラー以外に崇拝されるあらゆるものを指す。詳しくはこの章の最後に説明されている。

[3] サヒーフ・アル=ブハーリー(3435)、サヒーフ・ムスリム(28)。文章はアル=ブハーリーのもの。

[4] 訳者注:つまり天国行きを確実なものにすることと、地獄行きを確実なものにすることの2つの要素(アン=ナワウィーのサヒーフ・ムスリム注釈より)。

[5] サヒーフ・ムスリム(93)。

[6] 真正な伝承。ムスナド・アフマド(6583)、アル=ブハーリーのアル=アダブ・アル=ムフラド(558)、サヒーフ・アル=アダブ・アル=ムフラド(426)。アル=アルバーニーのアッ=スィルスィラト・アッ=サヒーハ(134)も参照のこと。

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