シルク(アッラーの唯一性の否定)


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●   シルクとは:至高のアッラーに対し、かれのルブービーヤ[1]とウルーヒーヤ[2]そしてかれの美名と属性において同位者や関与者をおくことです。それゆえアッラーの他に創造主がいるとか、あるいはそれに関与するものがあるなどと考える人は、ムシュリク(シルクを犯す者)になります。またアッラー以外に崇拝するに値する存在があると考える人も、アッラーのみが有する美名や属性を共有するものがあるなどと考える人も、同様にムシュリクとなります。

 

●   シルクの危険性

 

アッラーに対してシルクを犯すことは、比類のない不正です。というのもシルクは、至高なるアッラーのみが有される権利であるタウヒードに対する冒涜だからです。タウヒードこそは公正のうちでも最たるものであり、シルクは不正と醜行のうちでも最たるものです。シルクは万有の主に欠陥があるといういわれのない主張をし、かれの純粋な権利をかれ以外に捧げ、かれとかれ以外のものを同等に並べることです。シルクの危険性は尋常ではなく、もし審判の日にムシュリクとしてアッラーにまみえることになれば、アッラーはその人物をお赦しにはなられません。崇高なるアッラーは仰られます:- 実にアッラーはシルクをお赦しにはなられないが、それ以外のことであればお望みの者をお赦しになられる。,(クルアーン4:48)

 

2-アッラーに対してシルクを犯すことは最大の罪悪です。アッラー以外のものを崇拝するものはイバーダ(崇拝行為)を間違った形で行い、それを本来ささげるべき御方以外のものに捧げているからです。これは至高のアッラーが次のように仰られているように、重大な悪事で忌まわしい罪なのです: - 実にシルクは重大な罪悪である。,(クルアーン31:13)

 

3-大シルク[3]は、それを犯す者の善行やイバーダ(崇拝行為)など全ての行為を無効にする上、当人に破滅と損害をもたらします。それは以下に示す通り、大罪の内でも最も深刻なものなのです:

 

①      至高なるアッラーは仰られました:-そしてあなたと、あなた以前の者たちにこう啓示された:“もしあなたがシルクを犯せば、あなたの行いは無駄となり、あなたは損失者の類となるのだ。” ,(クルアーン39:65)

 

②      アブー・バクラ(彼にアッラーの御満悦あれ)は伝えています:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はこう3回繰り返し言いました:“大罪の内でも最大のものを教えようか?”(人々は)言いました:“はい、アッラーの使徒よ。”(預言者は)言いました;“アッラーに対してシルクを犯すこと、そして親不孝だ。”そして(預言者は)座ると、寄りかかってこう言いました:“そして虚言(もその内の1つ)である。”」(アブー・バクラは)言いました:「そして彼(預言者)は、私たちが“もう黙ってくれたらいいのに”と思うまで、それを繰り返し言い続けました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[4]

 

●   シルクの醜悪さ

 

偉大かつ荘厳なるアッラーはクルアーンの4つの節において、シルクの醜悪さについて4通り述べられています。それらは以下の通りです:

 

①      至高なるアッラーは仰せられました:-実にアッラーはシルクをお赦しにはなられないが、それ以外のことであればお望みの者をお赦しになられる。そしてアッラーに対してシルクを犯す者は、この上ない罪を犯しているのだ。 ,(クルアーン4:48)

 

②      至高なるアッラーは仰せられました:-そしてアッラーに対してシルクを犯す者は、実に遥か遠く迷い去ってしまった者である。,(クルアーン4:116)

 

③      至高なるアッラーは仰せられました:-実にアッラーに対してシルクを犯す者は、アッラーが彼に天国を禁じられ給う。そして彼の行き先は地獄の業火であるのだ。(審判の日)不義の徒に援助者はないのである。,(クルアーン5:72)

 

④      至高なるアッラーは仰せられました:-そしてアッラーに対してシルクを犯す者というのは、天から墜落した後に鳥にさらわれ、あるいは風に吹き飛ばされて遠い場所へと運び去られてしまうようなものである。,(クルアーン22:31)

 

●   シルクを犯す者が受ける罰

 

1-至高なるアッラーは仰せられました:- 啓典の民(ユダヤ教徒とキリスト教徒)とムシュリク(シルクを犯す者)たちの内で(真実を)隠蔽し認めない者たちは、地獄の業火に永遠に留まることになる。彼らこそは創造物の内でも最悪の者たちなのだ。,(クルアーン98:6)

 

2-アブドッラー・ブン・マスウード(彼にアッラーの御満悦あれ)は伝えてます:「預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“死ぬまでアッラー以外の何かにドゥアー(祈願)していた者は、地獄の業火に入るだろう。”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[5]

 

●   シルクの基礎

 

シルクがその上に成立しているところの基盤というべきものは、アッラー以外の何かを愛するということです。アッラー以外の何かを愛する者は、来世においてアッラーが彼の愛する対象をもって彼に襲いかからせ、そしてそれによって彼は罰せられます。彼は自らの愛するものに裏切られる羽目となる上、彼は屈辱的に見捨てられた状態に陥り、誰も彼に目も向けもしなければ、援助の手を差し伸べてもくれもしません。至高のアッラーはこう仰せられました:-アッラーの他にいかなるものも崇拝してはならない。そうすればあなたは屈辱を受け、見捨てられる羽目になるであろう。,(クルアーン17:22)

 

●   シルクにおけるフィクフ(イスラーム法)

アッラーの美名、属性においてシルクを犯すこと、かれの決定においてシルクを犯すこと、かれへのイバーダにおいてシルクを犯すこと、これらの種類はすべて真の主であり、真の王であるアッラーへのシルクです。

上記の1つ目はルブービーヤにおけるシルクであり、2つ目はアッラーへの服従におけるシルク、そして3つ目はイバーダ(崇拝行為)におけるシルクです。

力強く偉大なるアッラーは至大かつ至高なる主であり、かれと並ぶものない唯一無二の万有の創造主であり所有される御方です。

またかれは真の法をもつ唯一の御方であり、そして真に崇拝されるべき唯一の御方なのです。

アッラーが定められたことにおいてかれへシルクを犯すことは、かれへのイバーダ(崇拝行為)においてかれへシルクを犯すことと同じことです。それら2つは両方ともイスラームにおいて大シルク[6]になります。なぜならば真のイバーダ(崇拝行為)は唯一無二の御方であるアッラーの権利であられるからです。アッラーは次のように仰せられました。-およそ誰でも、主との会見を請い願う者は、正しい行いをしなさい。かれの主を崇める場合に何一つ(同位に)配置して崇拝してはならない。,(クルアーン18:110)

 

裁決は唯一無二の御方であられるアッラーの権利です。アッラーは次のように仰せられました。-かれ(アッラー)に、天と地の幽玄界は属する。何とかれはよく御存知であられ、またよく御聞きになることよ。かれら(言い争っている人びと)には、(結局)かれの外にはどんな保護者もなく、また何ものも、かれの大権に参与しないのである。,(クルアーン18:26)

 

アッラーが下されたもの以外の教えに従う者は皆、ムシュリク(シルクを犯す者)であり、不信仰者です。そうした者たちが自分の主として崇めるものは、イブリース(悪魔の長)が不信仰の仲間たちの言葉の中にねじ込んだ、その法なのです。偉大なるアッラーは次のように仰せられました。-かれらは、アッラーをおいて律法学者や修道士を自分の主となし、またマルヤムの子マスィーフを(主としている)。しかしかれらは、唯一なる神に仕える以外の命令を受けてはいない。かれの外に神はないのである。かれらが配するものから離れて(高くあらせられる)かれを讃える,(クルアーン9:31)

 

シャイターン(悪魔)を崇拝するということは、シルクと不信仰へと導く法・制度に従うということです。

至高なるアッラーは、この人類の敵に対して、次の御言葉で私たちに警告なされています。-アーダムの子孫よ、悪魔に仕えてはならないと、われはあなたがたに命令しなかったか。かれはあなたがたの公然の敵であるアーダムの子孫よ、悪魔に仕えてはならないと、われはあなたがたに命令しなかったか。かれはあなたがたの公然の敵であるあなたがたはわれに仕えなさい。それこそ正しい道である,(クルアーン36:60-61)

 

アッラーの法に反する実証主義や制度のすべては、アッラーへの崇拝に同位者を置くものです。また、その規定や、それを愛すること、それに反対するものを嫌悪すること、それらはすべて大シルクです。-それともかれらに(主の)同位者があって、アッラーが御許しになられない宗教をかれらのために立てたのか。決定的(猶予の)御言葉がなかったならば、かれらのことはとっくに裁かれていた。悪い行いの者は本当に痛ましい懲罰を受けるであろう,(クルアーン42:21)

 

偶像を崇拝する不信仰者たちは不遜で、罪深い者達です。そしてもし彼らがアッラーの定められたものを改ざんし、シャイターン(悪魔)の法に従うならば、それは最初の不信仰の上にさらに増長された新たなる不信仰となります。至高なるアッラーは次のように仰せられました。-本当に(聖月を)延ばすことは、不信心を増長させ、それで不信者は誤って導かれている。ある年は(聖月を)普通の月とし、(他の年は)聖月とする。かれらはアッラーが禁じられた(聖月の)数と合せるために、アッラーが禁じられたもの(聖月)を(戦いが)合法であるとする。かれらの間違った行いは、かれらには立派に見える。アッラーは信仰を拒否する民を導かれない,(クルアーン9:37)

 

 



[1] 訳者注:いわゆる主性。つまりこの世の創造や管理、所有や支配などに関する権威。

[2] 訳者注:いわゆる神性。つまり真に崇拝されるべき権威。

[3] 訳者注:詳しくは「5.シルクの種類」の章を参照のこと。

[4] サヒーフ・アル=ブハーリー(2654)、サヒーフ・ムスリム(87)。引用はアル=ブハーリーから。

[5] サヒーフ・アル=ブハーリー(4497)、サヒーフ・ムスリム(92)。文章はアル=ブハーリーのもの。

[6] 訳者注:詳しくは「5.シルクの種類」の章を参照のこと。

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